当院では、以下のような口腔外科処置を行っています。
親知らずの抜歯
顎関節症の治療
嚢胞の摘出
外傷の処置(歯の破折・脱臼・口唇裂傷など)
口腔粘膜疾患の治療
睡眠時無呼吸症候群のマウスピース作成
また、口腔がんなど高度な医療が必要な場合には、適切な高次医療機関をご紹介いたします。
親知らずの抜歯
親知らずとは?
親知らず(第三大臼歯)は、一番奥に生えてくる永久歯です。一般的には20歳前後に生えてきますが、顎のスペース不足により、横向きや斜めに生えてしまうことがあります。
抜歯を推奨するケース
以下のような場合、親知らずの抜歯をおすすめします。
頻繁に腫れや痛みが生じる
横向きや斜めに生えており、隣の歯に悪影響を及ぼす
かみ合わせを悪化させている
粘膜を傷つけてしまう
虫歯・歯周病が進行し、治療が困難な場合
矯正治療の妨げになる場合
抜歯後の経過と注意点
通常の抜歯ではほとんど腫れや痛みはありませんが、歯ぐきの中に埋まっている親知らず(埋伏歯)の抜歯では、1週間程度腫れや痛みが出ることがあります。術後は痛み止めを処方し、適切なケアを行います。
親知らず抜歯の症例
下顎埋伏智歯

度々右下の親知らず(智歯)の部分か腫れるということで来院された患者さんです。
青の丸印で示した部分が親知らずで、横を向いて骨の中に埋もれていますが、下顎の骨の中には下顎管(青の▲)と呼ばれる太い神経や血管が通っている管があります。抜歯の際にこれを損傷すると知覚麻痺や大量の出血をしますので、それは避けなければなりません。今回の場合パノラマX線写真上では親知らずと下顎管が接している用に見えます。

このような場合は手術の安全のためCTを撮影し3次元的な位置関係を把握します。
CTでは親知らずと下顎管が離れているのが確認されました。また親知らずの周りの骨が吸収し何度も腫れたことが伺われます。

抜歯に際しては、下顎孔伝達麻酔と呼ばれる方法で神経のおおもとを麻酔しました。粘膜を切開し歯冠(歯の頭)と歯根を切断し別々に抜歯しています。その後縫合して手術は終了しました。術後に痛み止めと抗生剤を処方しています。
術後は腫れと痛みがあったとのことですが、痛み止めで痛みは我慢できる程度になったとのことでした。1週間後に抜糸して処置を終わりました。
上顎埋伏智歯の抜歯

検診で来院された患者さんですが、レントゲンを撮影したところ、上顎の親知らずが斜めに埋もれており、なおかつ手前歯が虫歯になっていることがわかりました。このままではう蝕が進行してしまいますので、抜歯を行うこととしました。
上顎は上顎洞と呼ばれる鼻の横の空間があり、親知らずがそれに接しています。今回もCTを撮影し位置関係を把握し安全な手術を行うことを心がけました。

CTで親知らずが上顎洞内への嵌入をしていないことが確認できましたので、比較的に安全に手術可能であると判断しました。
CTで見ると虫歯がかなり大きいことがわかります

手術当日は、局所麻酔で歯肉を切開し親知らずを摘出しました。縫合後、痛み止め抗生剤を処方し当日は終了しました。1週間後抜糸を行いましたが、その間痛みや腫れはほとんどなかったそうです。
余談ですが最近の若者は身体的に退化しているので親知らずが無いというのは誤った認識で、むしろ親知らずが欠損率が一番大きかったのは第二次世界大戦中に生まれたであろう、昭和30年代が一番欠損しています。

山田博之, 近藤信太郎, 花村肇. "日本人第 3 大臼歯欠如頻度の時代変化." Anthropological Science (Japanese Series) 112.2 (2004): 75-84.
顎関節症
顎関節症とは?
顎の痛み、開口障害(口が開かない)、開口時の異音(カクカク鳴る)などの症状がある場合、顎関節症の可能性があります。
主な原因
・頬杖をつく習慣
・硬いものを長時間噛む
・日中、無意識に歯を噛みしめている
治療方法
・生活習慣の改善
・スプリント療法(マウスピースの使用)
・開口訓練・理学療法
・薬物療法
顎関節症は、悪化する前に適切な治療を受けることが大切です。

睡眠時無呼吸症候群
症状の特徴
・いびきを指摘される
・夜中に何度も目が覚める
・起床時に頭痛やだるさがある
・日中に強い眠気を感じる
放置すると…
高血圧・脳卒中・心筋梗塞などのリスクを高める可能性があります。睡眠時無呼吸症候群が疑われう方は、呼吸器内科、耳鼻科等での診察をおすすめします
治療方法
CPAP(持続陽圧呼吸療法):鼻マスクで空気を送り込む治療
軽度の場合は、歯科医院で作成するオーラルアプライアンス(OA)が有効
OA作成は医科(呼吸器内科・耳鼻咽喉科)の指示が必要となります。紹介状をご持参の上、ご相談ください。


兵庫県保険医協会ホームページより引用
口腔外傷時の処置
緊急時の対応
歯が脱臼した場合、すぐに以下の処置を行ってください。
歯の保存:
・歯の保存液があれば使用する
・生理食塩水や牛乳につける
・口に含む(唾液で乾燥を防ぐ)
早急に歯科医院へ:
脱臼した歯は、時間が経つほど再植成功率が低下します。
できるだけ早くご来院ください!